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Lutraの目指すもの

 Lutraを開発しようと思ったきっかけは、東日本大震災の後に雨後のタケノコのごとく市場にあふれた太陽光パネル製品でした。折りたたみ式のパネルや、超小型のパネル、いろいろな製品が発売されました。

 しかし共通する問題がありました。街に住んでいる人が日常生活で使うにはめんどうすぎるのです。

 非常事態に見舞われたりやアウトドアに出かけたりすると、多少めんどうな道具でもなんとか工夫して使いこなします。しかし原発災害にみまわれた日本の最大の課題は日常生活です。

 日本人のほとんどは都会に住んでいます。なのにこれまでの太陽光パネルはどうしても一戸建ての屋根に上げる大型のものか、アウトドア・災害用の小型パネルに限られていました。

「都会で日常的に使う小型の太陽光パネルが作れないか──」

 というのがこのLutraを立ち上げるきっかけになったのです。

 都会の住宅として多いのがマンションやアパートなどです。これら集合住宅は、パネルを設置するスペースに乏しい。ベランダに設置スペースはありませんし、外観や安全上も大きなパネルを設置するのは難しい。いきおいパネルは小型にならざるをえないのですが、そんな小さな発電設備のために配線工事を強いるわけにはいきません。

 毎日かんたんに使えて発電を実感できる装置として、まずはスマートフォンのための発電を窓を使っておこなうという基本方針が決まりました。コンセプトは

「スマホをコンセントを使わずに運用できる太陽光パネルとバッテリのセット」

です。これさえあれば少なくともスマホには原子力発電も火力発電も不要になる。そういう発電装置にしようということになりました。

 ここから開発陣は発電量の計算を進めます。太陽光パネルは地面から30度の角度をつけて設置したとき、年間を通した発電量が最大になります。しかし窓ガラスは垂直です。しかもガラス越しの発電。じつは、ガラス1枚を通しただけで太陽光パネルの発電量は半分に落ちるのです。ガラスって透明ですが、思ったよりずっと太陽光を遮断しているんですね。

 ガラス越しで垂直設置してもスマホを1日駆動できる電力を余裕をもって作れるパネルサイズとして、Lutra太陽光パネル5.0のサイズが決まりました。快晴ならLutraのバッテリ2200を半日で十分に充電しきれるパネルです。偶然にもB5ノートとほとんど同じサイズになり、運びやすい形になりました。

 次はバッテリです。いちばん普及しているiPhoneの電池サイズは約1400mAhです。これに対して十分な余裕を持たせてなければなりません。というのも、太陽光はいつでも手に入るとは限りませんから、天気のいい日に「ため込んでおく」必要があるのです。ここから価格と相談してサイズは2200mAhと決めました。

 さらに基本セットとしてバッテリは2個付けることにしました。バッテリが1個だと、満充電したバッテリを持ち運んでいる間に自宅のパネルがお留守になります。バッテリが1個だと、スマホを運用するには無理があるのです。

 こうしてパネルとバッテリのスペックが決まりました。

 残るはデザインです。いろいろな選択肢がありましたが、今回のLutraパネルとバッテリのセットは都会の集合住宅にあうよう、ニュートラルでスマートな印象のデザインをほどこしました。

 このデザインの過程で、太陽光パネルの裏にバッテリを磁石で貼り付けるというアイデアが出ました。太陽光を収獲するように、できるだけ簡単に楽しく続けられる太陽光発電装置を作りたかったので、片手でワンタッチで装着できるのはいいギミックです。

 こんなふうにLutraの第1弾製品であるパネルとバッテリが完成しました。家庭菜園からつまみ菜を収穫するように、毎日の楽しみとして発電して、それがいざというときにもそのまま役に立つ。

 Lutraのあたらしい提案を楽しんでみてください。